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2011年01月08日

科学誌サイエンス 2010年 2月 12日


速く形成された氷河の証拠?
Proof of Faster-Forming Glaciers?


最終氷期の間の海水面は、125,000年前の最終温暖期に比べて約20,000年前の最終氷期最盛期では約 130メートル低下していることがわかった。この間、海面は徐々にしかし不規則に、時には激しく低下しており、その上昇と低下については、未だ十分に解明されていない。新たな研究から81,000年前の海面は現在よりも1メートル高かったことが明らかになった。この結果は一般に知られている氷床成長に関する見解と一見食い違う。海面は大規模な氷河の融解と形成に伴い上昇したり低下したりすることから、今回の発見は、その当時の極域氷床が小規模であり、 81,000年前の地球よりも現在の大気中の二酸化炭素濃度はかなり低いが、気温は少なくとも現在と同じか現在よりも高かったことを示唆している。 Jeffrey Doraleらは、数十万年にわたって断続的に地中海に沈んでいたスペインのマヨルカ島にある洞窟形成を研究することによってこの結論に至った。このデータから、氷河はこれまで専門家が考えていたよりも速く拡大・縮小した可能性が示唆され、この研究結果が証明されれば氷河期の到来と終末の詳細な背景に関する議論に変化を投じるものになるであろう。Doraleらによれば、世界的に認識されている100,000年間の氷期は、結局のところ氷河には影響せず、むしろ二酸化炭素濃度やメタン濃度、極冠に記録された気温に限って影響したと考えられる。R. Lawrence EdwardsによるPerspectiveでは今回のデータが詳細に説明されている。

"Sea-Level Highstand 81,000 Years Ago in Mallorca," by J.A. Dorale; D.W. Peate at University of Iowa in Iowa City, IA; B.P. Onac at University of South Florida in Tampa, FL; B.P. Onac at Babes-Bolyai University in Cluj, Romania; J.J. Fornos; J. Gines; A. Gines at Universitat de les Illes Balears in Palma de Mallorca, Spain; P. Tuccimei at Università di Roma III in Rome, Italy.


生物急増直前の世界の海
The World’s Oceans, Just Prior to an Explosion of Life


エディアカラ紀、つまり多様な多細胞生物が爆発的に増加したカンブリア紀直前の世界の海に関する数々の研究では相反する結果が出ている。エディアカラ紀後期、世界中の海盆は完全に酸化していたとする研究もあれば、相対して、深海で酸素不足が起きていた証拠を示す研究もある。研究者らは今回、南中国の堆積岩から集めたデータを用いてそういった研究結果の矛盾を解いたと述べ、エディアカラ紀の海成層モデルから最大の生物多様化イベントに予想を超える長期間を要した原因究明を試みている。Chao Liらはこのモデルの作成に向けて、中国のNanhua海盆の堆積岩に含まれる鉄鉱物、硫化物および硫酸塩の同位体を分析した。その結果、世界の海では約 6億3,500万年前〜約5億4,200万円前のエディアカラ紀に硫化物や鉄に富んだ特定の層が形成されたことが判明した。中深海では硫化物と硫酸塩に富んだ安定した層が酸素の少ない鉄に富んだ層に挟まれているとChao Liらは述べている。さらに、大陸棚から運ばれる硫酸塩が少なく、また、これらの海層のより深い部分ではバクテリアの働きにより硫酸塩がさらに少ないことから、これらの層はエディアカラ紀をとおして維持されたと付け加えている。Liらのモデルによって原始の時代における深海の化学的組成に関する種々の研究報告の矛盾が解明されるとともに、彼らが示した海の様相の変化からエディアカラ紀の不完全な化石記録の解明も進むと思われる。

"A Stratified Redox Model for the Ediacaran Ocean," by C. Li; G.D. Love; T.W. Lyons at University of California, Riverside in Riverside, CA; D.A. Fike at Washington University in St. Louis, MO; A.L. Sessions at California Institute of Technology in Pasadena, CA; X. Chu at Chinese Academy of Sciences in Beijing, China.


WIMPから暗黒物質についてのかすかなヒント
WIMPS Give Faint Hint of Dark Matter


極低温暗黒物質探索II(CDMS-II)実験から得た最新データの分析の中でZeeshan Ahmedらは、暗黒物質のWIMP(weakly interacting massive particle)という電磁気的相互作用がほとんどない重い粒子によって生み出された事象について、その検出が可能であるが統計学的には可能性の低いことを詳しく述べている。今回の発見によりさらに膨大なデータを加えることができたが、WIMP相互作用を巡る謎も益々深まることになった。暗黒物質は宇宙の全物質の85%を占め、初期宇宙の構造形成においてカギとなる役割を果たしたと考えられている。しかし、その性質はまだ謎のままである。科学者はこれまで、WIMPは普通の原子との相互作用が可能であるが非常に弱く、しかも滅多に起らない、と予測してきた。このような相互作用が起る時には、まず一つの WIMPが一つの原子に衝突し、熱や荷電した原子あるいはイオンなどの小さな飛跡(検出可能)を発生させる。本論文の中では、完了したCDMS-II試験(WIMPの形で存在する暗黒物質を追跡するために地下検出装置30台を使用)から得た最終結果が述べられている。WIMPの存在を示唆するシグナル2種が観察された。しかし著者らの計算では、統計学的に有意でない23%で発生するこのような相互作用の尤度に上限を設けている。

"Results from the Final Exposure of the CDMS II Experiment," by Z. Ahmed at California Institute of Technology in Pasadena, CA. A full list of authors is available in the PDF of the paper.


中国の土壌酸性化は化学肥料が原因
Chinese Soils Acidifying Due to Fertilizer


中国は世界最大の穀物生産国となるなど、1980年代初頭から農業分野での成長が目覚ましいが、これは化学肥料の使用量増加によるところが大きい。最近の調査によって、中国では窒素肥料による深刻な影響が出ていることがわかった。窒素肥料のせいで土壌が著しく酸性化した結果、長期的にみると生命を育む力が弱まっているというのだ。天然の酸性土壌は、世界の凍らない陸地の約30%を占め、生物多様性や生産力に乏しい場合が多い。窒素肥料をやりすぎると土壌が酸性化するわけだが、J.H. Guoらによると、中国では温室野菜などの換金作物や穀物を中心に窒素肥料が使われ、その使用率は北米や欧州に比べてかなり高いという。研究者は、表土の pHに関して2000年〜2008年までの公開データをすべて集め、さらに6つの土壌群についても1980年代〜2000年代までのデータを収集した。これらのデータを分析したところ、中国の主要な穀物生産地域において、1980年代から2000年代にかけて酸性化がかなり進んだことが判明した。こうした大規模な土壌酸性化がおこると、農業が持続できなくなったり、土壌内における栄養分と有毒物質の生物地球化学的循環が悪くなったりするおそれがある。

"Significant Acidification in Major Chinese Croplands," by J.H. Guo; X.J. Liu; Y. Zhang; J.L. Shen; W.X. Han; W.F. Zhang; P. Christie; F.S. Zhang at China Agricultural University in Beijing, China; P. Christie at Agri-Food and Biosciences Institute in Belfast, UK; K.W.T. Golding at Rothamsted Research in Hertfordshire, UK; P.M. Vitousek at Stanford University in Stanford, CA.


Translational Medicine 2月10日号: 男性間で性的に伝播するHIVの起源
The Origins of Sexually Transmitted HIV Among Men

新たな遺伝学的研究により、HIVは、男性と性交渉を持つ男性の精液の液体成分を介してRNAの形態で伝播することが報告された。この発見により、HIV伝播の起源が特定され、男性間でHIVがどのように伝播するのかという基本的な疑問が解決された。また、この発見が、ワクチン、膣殺菌薬、または薬剤を用いたHIVに対する有効な予防策を開発するための取り組みを集中させる可能性がある。世界保健機関によると、世界中で約3,300万人がHIVに感染している。本研究でDavid Butlerらは、一方の男性(感染源パートナー(source partners))からもう一方の男性(感染したパートナー(recipient partners))にHIVが伝播した男性カップル6組の血液および精液の試料を採取し、HIVの遺伝子配列について検討した。精液は、精子および白血球と、精漿と呼ばれるこれらの細胞を覆う液体で構成されている。 精漿中にはHIVのRNAが浮遊している一方で、精液中の白血球にはHIVのDNAが含まれており、両者ともに非常に感染性が高いと考えられている。研究者らは、系統発生解析を実施して、各感染源パートナーと各感染したパートナーの精漿および白血球から検出されたHIVの遺伝学的特徴について比較検討した。同解析は、病原体の遺伝学的特徴を比較してそれらの関連性を決定するもので、個体または動物種が互いにどの程度密接に、または離れて関連しているかを確認するための家系図の使用によく似ている。研究者らは、検出されたウイルスの「家系図」を作製することにより、ウイルスの由来をたどることに成功し、 HIVの起源は感染源パートナーの白血球中のDNAではなく精漿中のRNAであると結論付けた。

"The Origins of Sexually Transmitted HIV among Men Who Have Sex with Men," by D.M. Butler; W. Delport; S.L. Kosakovsky Pond; M.K. Lakdawala; P.M. Cheng; S.J. Little; D.D. Richman; D.M. Smith at University of California, San Diego in La Jolla, CA; D.D. Richman; D.M. Smith at Veterans Administration San Diego Healthcare System in La Jolla, CA.



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2010年12月26日

科学誌サイエンス 2010年 2月 5日


移動昆虫の秘密が明らかに
Migrating Insects Divulge Their Secrets


新しい研究により、移動昆虫は単に風に身を任せているに過ぎないという認識が払拭され、その飛行行動は技術の高さにおいて鳥類の渡りに類似していることが判明した。Jason Chapmanらはレーダーで空をスキャンし移動昆虫を捕捉して収集したデータを用いて、高空飛行する蛾とチョウは追い風を選ぶとともに偏流を補正することができ、それにより時間的に効率良く最大距離を移動できることを示した。また、移動昆虫の多くは農業の重要害虫であり、地球の気候変動に伴いそういった昆虫の北半球への移動が増加することから、このような移動方法を理解し予測できることがより一層重要になるとも述べている。Chapmanらは蛾の飛行方法の効率を測るために、夜間に高高度を飛び移動する蛾の飛行行動を、自動力のない風に漂う粒子の動きのシミュレーションモデルに組み込んだ。その結果、蛾が8時間で風に漂う粒子よりも平均約100キロ(60マイル)遠方まで移動でき、最終的に移動距離は40%も長かったことが判明した。以上のことから、今回の研究結果は移動昆虫が速度の速い、季節によって有利な追い風を選んで最適な長距離移動を行っていることを証明している。

"Flight Orientation Behaviors Promote Optimal Migration Trajectories in High-Flying Insects," by J.W. Chapman; R.L. Nesbit; D.R. Reynolds; A.D. Smith at Rothamsted Research in Hertfordshire, UK; R.L. Nesbit; J.K. Hill at University of York in York, UK; L.E. Burgin; D.R. Middleton at Met Office in Exeter, UK; L.E. Burgin at University of Exeter in Exeter, UK; D.R. Reynolds at University of Greenwich in Kent, UK.


極めて能率的なヒキガエルの7つの習性
Seven Habits of Highly Effective Toads


この新しい研究はわずか5,500万年で大部分の大陸にヒキガエルが生息するようになった理由を明らかにするであろう。既知の約500種類のヒキガエル科の生息地は世界中に分布している。ハーレクインフロッグ(harlequin toads)のような一部の種は極めて脆弱で生息地が限られているが、オオヒキガエルのような他の種は異例な速さで適応し、生息地を拡大する能力を持つことで有名である。Ines Van Bocxlaerと国際研究チームはヒキガエルの地理的分布域を左右する多様な形質の進化の歴史を再現し、生息地拡大を可能にしたと思われる7つの形質を突き止めた。たとえば、水や湿った空気が常にあるという環境に依存しない成体はより広い地域に分布しているとBocxlaerらは報告している。さまざまな種類の水塊に産卵する種、幼体が親ではなく周辺環境から食物を摂取する種、および1回の産卵量が多い種も生息域が広い傾向にある。Bocxlaerらによると、最古のヒキガエルに蓄積されたこれらの形質が「生息地を拡大する表現型」を成し、種の生息地拡大と放散が可能になった。このような仕組みは、古代における種の放散を解き明かすとともに、オオヒキガエルなどの現存する侵入生物種の進化の背景の解明にも役立つと思われる。

"Gradual Adaptation Toward a Range-Expansion Phenotype Initiated the Global Radiation of Toads," by I. Van Bocxlaer; K. Roelants; F. Bossuyt at Vrije Universiteit Brussel in Brussels, Belgium; S.P. Loader at University of Basel in Basel, Switzerland; S.D. Biju at University of Delhi in Delhi, India; M. Menegon at Museo Tridentino di Scienze Naturali in Trento, Italy.


遺伝子ドーピング−新たな不正行為の仕方
Genetic Modification−A New Way to Cheat


ドーピングによるスポーツでの不正行為は、これまでずっと薬理学や生理学の進歩と共に行われてきた。しかし遺伝子操作(修飾)という新しい方法の出現に伴い研究者達は、このような非常に不完全でリスクの高い技術がもたらす危険性について、アスリート達に警告するよう、科学界に呼びかけている。Policy Forumの中でTheodore Friedmannらは、とりわけ、遺伝子治療やその他の遺伝子操作技術がオリンピックなどの国際競技をどのように複雑化させる恐れがあるのか、あるいはもう既に複雑化させてしまっているのか、という問題を取り上げている。著者らは、操作された遺伝子をアスリートから検出する数種の効果的な新方法について、世界アンチ・ドーピング機構(WADA)が実施を検討している方法も含めて意見を述べている。スポーツで成績を伸ばしたいと熱望するアスリート達をターゲットにしたオンライン販促活動にも注目している。遺伝子治療法や治療薬などの売買は既にインターネット界に出現しており、主に、どのように「筋肉の遺伝子を変化」させ、「筋肉増強物質の遺伝子を誘導」させることができるかについて、宣伝している。Friedmannらは、このようなビジネスは遺伝子ドーピングをスポーツ界へ持ち込ませたくない者にとって重大な懸念であり、また科学者はこれらの問題に対して単なる部外者ではない、と主張している。さらに、地球規模の遺伝子操作市場は既に増強薬への需要を満たす準備を整えており、有効性が試験で実証されていない非規制製品が含まれていたり大げさな宣伝文句が存在したりすることは避けがたいであろう、と述べている。遺伝子治療法の臨床研究に関する国際的倫理規定を維持・強化することは、科学界が担うべき責任である。

"Gene Doping and Sport," by T. Friedmann at University of California, San Diego in La Jolla, CA; O. Rabin at World Anti-Doping Agency in Montreal, QC, Canada; M.S. Frankel at AAAS in Washington, DC.


羽毛恐竜の色
Colors of a Feathered Dinosaur


化石の羽毛の拡大像を用いて、Anchiornis huxleyiという恐竜の色が再現された。ジュラ紀後期(約1億6000万年〜1億5000万年前)から存在するこの獣脚竜は、体色が濃い灰色か黒色であり、羽は白色の長い羽毛で覆われ、羽先は黒かったと考えられる。また、頭部は赤褐色の斑紋があり、赤褐色の長い冠羽があったと考えられる。 Quanguo Liらは、最近中国で発見されたAnchiornis huxleyiの骨格標本の一部から得た走査型電子顕微鏡画像を分析した。その結果、色素メラニンを内含するメラノソームという細胞小器官が多種多様に存在することがわかった(カロテノイドのような他の分子色素も羽毛の色を発現するが、化石の羽毛にはこのような色素が認められなかった)。近代の生物では、黒色や灰色を発現するメラノソームの形状は一般に細長いが、色あせた赤色や茶色を発現するものは短く幅がある。著者らは化石のメラノソームの形状と密度を分析し、近代鳥類の羽毛のものと比較してAnchiornis huxleyiの色調を決定した。それによると、羽毛の色は家畜化された水鳥などさまざまな現生鳥類とよく似ていることが明らかになった。 Anchiornisは飛行能力が活性化され進化する以前にあたることから、著者らは羽が進化する初期においては空気力学と同じくらい羽の存在を示したり誇示することが重要であった可能性があると示唆している。

"Plumage Color Patterns of an Extinct Dinosaur," by Q. Li; Q. Meng at Beijing Museum of Natural History in Beijing, China; K.-Q. Gao at Peking University in Beijing, China; J. Vinther; D.E.G. Briggs; R.O. Prum at Yale University in New Haven, CT; M.D. Shawkey; L. D`Alba at University of Akron in Akron, OH; J.A. Clarke at University of Texas at Austin in Austin, TX.


Translational Medicine 2月3日号: 白血病を1分子ずつ攻略
Tackling Leukemia One Molecule at a Time

新たな研究から、それぞれが白血病の治療標的となりうる25の分子が同定された。この発見は、まれな白血病幹細胞の有効な治療法を科学者が開発するうえで役立つと考えられる。白血病幹細胞は、化学療法に抵抗性であるだけでなく、致死的ともなる再発率を上昇させる原因であるとも考えられている。同幹細胞は、成人で最も一般的なタイプの白血病である急性骨髄性白血病患者に発生し、治療が非常に困難である。今回の研究で Yoriko Saitoらは、白血病幹細胞には存在するが、正常な血液幹細胞には存在しない分子の発見を試みた。白血病幹細胞は正常な血液幹細胞と酷似しているため、これは手腕を要する試みである。 研究者らは、患者および健常者由来の白血病幹細胞と血液幹細胞の両者を精製した。マイクロアレイ・ジーンチップを用いて、白血病幹細胞に発現した遺伝子と正常な血液幹細胞に発現した遺伝子をすべて比較した。その結果、白血病幹細胞では高度に発現していたが血液幹細胞では発現していなかった25の分子を発見した。このような性質は、これらの分子が、急性骨髄性白血病再発の真の原因となりうる癌幹細胞を正確に特定するための特別なマーカーとなる可能性を示唆している。さらに調べると、25の分子のうち2つは、スクリーニングした患者61例のうち半数以上の白血病幹細胞で確認され、再発予防のための薬物標的として特に有望であることが判明した。さらに、この2つの分子は、通常の化学療法薬による治療後も白血病幹細胞にフジツボのように固着していること、またこれらを阻害しても、正常な血液細胞の形成は阻害されないという2つの特徴からも、治療標的として有望である可能性が強調される。

"Identification of Therapeutic Targets for Quiescent, Chemotherapy-Resistant Human Leukemia Stem Cells," by Y. Saito; H. Kitamura; A. Hijikata; M. Tomizawa-Murasawa; S. Takagi; N. Suzuki; A. Sone; Y. Najima; H. Ozawa; O. Ohara; F. Ishikawa at RIKEN Research Center for Allergy and Immunology in Yokohama, Japan; S. Tanaka at Nippon Becton Dickinson CompanyinTokyo, Japan; N. Uchida; A. Wake; S. Taniguchi at Toranomon Hospital in Tokyo, Japan; L.D. Shultzat The Jackson Laboratory in Bar Harbor, ME.



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2010年12月25日

科学誌サイエンス 2010年 1月 29日


恐竜と鳥類の関係を示す獣脚竜の化石
New Bipedal Dinosaur Illuminates Dino-Bird Link


特殊な恐竜群である脚が長く前肢が太くて短いアルヴァレサウロイド類の一種の化石が新たに発見され、この群のほかの恐竜よりも6300万年前に存在していたことが明らかになり、この化石が鳥類と最近縁種の獣脚類が属する種類の重要な初期の恐竜のものであることが報告された。アルヴァレサウロイド類は比較的小型で二足歩行する恐竜であり、今回の化石が発見されるまでに発掘されていた標本はすべて白亜紀後期に生存していたものであった。白亜紀のアルヴァレサウロイド類にみられる最も特殊な特徴のひとつは、両手にひとつずつある巨大な鉤爪であり、採掘のために使用していたと考えられる。アメリカと中国の研究チームであるJonah Choinereらは、白亜紀より前のジュラ紀後期から存在したアルヴァレサウロイド類のHaplocheirus sollerについて報告している。今回の発見からアルヴァレサウロイド類の化石記録は、鳥類と最近縁種の獣脚類が属するマニラプトル類の初期というこれまで考えられていたよりもかなり前まで遡ることになる。またHaplocheirusには指が3本あり、中指が最も長い。年代を経て指が融合し巨大な鉤爪となり、白亜紀のアルヴァレサウロイド類のトレードマークになったと著者らは述べている。

"A Basal Alvarezsauroid Theropod from the Early Late Jurassic of Xinjiang, China," by J.N. Choiniere; J.M. Clark; C.A. Forster at George Washington University in Washington, DC; X. Xu; Y. Guo; F. Han at Institute of Vertebrate Paleontology and Paleoanthropology in Beijing, China.


水蒸気−地球温暖化の悪役?
Water Vapor-A Villain of Global Warming?


地球の成層圏における水蒸気量の減少が最近の地表温度上昇の速度低下に寄与している可能性が新しい研究によって指摘された。水蒸気は強力な温室効果ガスで、太陽光を一旦吸収し、大気中に熱を再放出する。今回の研究結果は、成層圏水蒸気が過去十年間に地球の気候を変動させてきた重要な要因であったことを表わしている。Susan Solomonらはデータとモデルを併用し、2000年頃の成層圏の水蒸気濃度の低下が2000〜2009年頃の地球の平均地表温度に影響を及ぼしたことを示した。特に下部成層圏水蒸気は2000年以降の地球の平均気温を横ばいにしている重大要因であり、温度上昇を約25%減速するように作用していると考えられる。Solomonらはまた、成層圏の水蒸気量の増加はおそらく1980〜2000年に起こったものであり、この時期に温暖化が急加速していることも指摘している。水蒸気濃度が最近低下した理由は依然として不明であるが、今回の研究結果は成層圏水蒸気濃度が地球の気候にとっていかに重要であるかを示唆している。

"Contributions of Stratospheric Water Vapor to Decadal Changes in the Rate of Global Warming," by S. Solomon; K. Rosenlof; R. Portmann; J. Daniel; S. Davis; T. Sanford at NOAA Earth System Research Laboratory in Boulder, CO; S. Davis; T. Sanford at University of Colorado, Boulder in Boulder, CO; G.-K. Plattner at University of Bern in Bern, Switzerland.


関節リウマチを悪化させる血小板
Platelets Stoke the Fires of Rheumatoid Arthritis


血小板から放出された小さな粒子が関節液に侵入して、関節リウマチに伴う炎症を悪化させている可能性のあることが、新たに報告された。著者らはまた、これら粒子の生成を促進している糖タンパク質VI(GPVI)というタンパク質を発見し、GPVIを阻害することがこの種の関節炎の新たな治療法となりうるだろうと述べている。血小板は血液の凝固過程で重要な役割を担っていることが最も良く知られているが、炎症過程でも関与しているとするエビデンスが増えている。血小板由来の微小粒子は、血小板の活性化に反応して放出される小さな小嚢であり、生体分子を体中に輸送することができる。Eric Boilardらは今回、これら粒子が自己免疫疾患のひとつ関節リウマチの根底にある炎症過程に関わっていることを発見した。様々なタイプの炎症性関節炎患者達の滑液からこの粒子を発見したが、炎症過程が異なる変形性関節症患者の滑液内では見つけることができなかった。また、炎症性関節炎マウスモデルで血小板を減少させると、発病を抑制することができた。関連するPerspectiveでは、今回の発見について、微小粒子がどのように滑液内に侵入するのかといった問題も加えて考察されている。

"Platelets Amplify Inflammation in Arthritis via Collagen-Dependent Microparticle Production," by E. Boilard; P.A. Nigrovic; K. Larabee; G.F.M. Watts; J.S. Coblyn; M.E. Weinblatt; E.M. Massarotti; D.M. Lee at Brigham and Women's Hospital in Boston, MA; E. Boilard; P.A. Nigrovic; K. Larabee; G.F.M. Watts; J.S. Coblyn; M.E. Weinblatt; E.M. Massarotti; D.M. Lee; E. Remold-O'Donnell at Harvard Medical School in Boston, MA; P.A. Nigrovic at Children's Hospital Boston in Boston, MA; R.W. Farndale at University of Cambridge in Cambridge, UK; J. Ware at University of Arkansas for Medical Sciences in Little Rock, AR.


核融合、実現可能?
Nuclear Fusion Within Reach?


カリフォルニア州リバモアにある国立点火施設(NIF)での最近の実験により、燃料を加熱し圧縮するという慣性核融合点火が一歩実現に近づいた。これによって将来、核融合による強烈なエネルギーの利用が可能になるであろう。この種の強力な核融合は星では自然に起こっているが、実験室ではまだそのような強力なエネルギーは操作できない。Siegfried Glenzerらは今回、そのような核融合を起こすに必要な状況が実際に研究室で再現できることを示した。彼らは192本の強力なレーザー光を重水素と三重水素の混合物を詰め込んだ小型カプセルに照射した。専門家によると、爆縮により、核融合プラズマが点火され、使用可能なエネルギーが放出されるという。 Glenzerらはこのカプセルを330万Kの高温まで加熱し、それによって次なる重要な段階、燃料の詰まったカプセルの爆縮と点火への道を切り開いた。もう1つの論文では、これらの超高温の爆縮しているカプセル内の状況を特定の荷電粒子を使って説明、評価する方法が述べられている。Chikang Liらは単一エネルギー陽子ラジオグラフィーや荷電粒子スペクトロスコピーといった技術を併用し、金のカプセルの爆縮とX線エネルギーの外への放出を証明した。これらの新しいデータは操作可能な実験室ベースの核融合プロセスの実現可能性を実証するとともに、それに関わるエネルギーや温度の高さの記録でもあり、これを活用して未知の宇宙で起きている天体物理学的および超高エネルギープロセスの一部がモデル化できるかもしれない。

"Charged-Particle Probing of X-Ray-Driven Inertial-Fusion Implosions," by C.K. Li; F.H. S?guin; J.A. Frenje; M. Rosenberg; R.D. Petrasso at Massachusetts Institute of Technology in Cambridge, MA; P.A. Amendt; J.A. Koch; O.L. Landen; H.S. Park; H.F. Robey; R.P.J. Town at Lawrence Livermore National Laboratory in Livermore, CA; A. Casner; F. Philippe at CEA/DIF in Arpajon, France; R. Betti; J.P. Knauer; D.D. Meyerhofer at University of Rochester in Rochester, NY; C.A. Back; J.D. Kilkenny; A. Nikroo at General Atomics in San Diego, CA.


Translational Medicine 1月27日号: 癌の化学像を描く
Painting a Chemical Picture of Cancer

癌領域をピンポイントで特定する前立腺の多色3次元マップを作成するため、これまで最先端の画像技術が利用されてきた。本研究は、癌を化学組成というレンズを通じて観察するための新たな手法へと道を開くもので、早期前立腺癌の検出に利用できる可能性がある。干し草の山の中から針を見つけるかのように、前立腺がんの早期検出は困難であるが、その理由は単純で、容易に見られないからである。現在の放射線学的手法では、癌性腫瘍が前立腺のどの場所にあるのか具体的に特定できない。患者にとって唯一の頼みは生検を受けることであるが、通常生検で検出できるのは癌の10%に過ぎない。各種癌のうち、前立腺癌は米国人男性の主要死因のひとつである。国際的な傾向では、前立腺癌は世界的にも(特に西洋諸国で)重要性を増しつつある。 本研究でChin-Lee Wuらは、ヒト前立腺の代謝産物の範囲を検討した。代謝産物は、体内の化学反応によって産生される小分子である。これらの「化学的指紋」は形質細胞に存在するが、非常に小さいため標準的手法では測定できない。同研究者らは、いくつかの代謝産物は他の代謝産物よりも癌に対する感受性が高く、代謝産物の特定の組み合わせを使用することで「ホットスポット」、すなわち癌になる可能性が高い前立腺内の領域を明らかにできることを突き止めた。前立腺組織内の異なる量の様々な化学物質や代謝産物を測定し、この情報を用いてコンピュータで生成された組織特異的マップを作成することで、同著者らは、前立腺癌病変の存在を 93〜97%の総合精度で検出できることを解明した。この結果から、組織内のすべての代謝性変化の集合的評価を利用することで、各患者の癌に固有の特徴を把握できる可能性が示唆される。

"Metabolomic Imaging for Human Prostate Cancer Detection," by C.-L. Wu; K.W. Jordan; E.M. Ratai; C.B. Adkins; E.M. DeFeo; B.G. Jenkins; W. S. McDougal; L. L. Cheng at Massachusetts General Hospital in Boston, MA; C.-L. Wu; K.W. Jordan; E.M. Ratai; C.B. Adkins; E.M. DeFeo; B.G. Jenkins; W. S. McDougal; L. L. Cheng at Harvard Medical School in Boston, MA; J. Sheng; L. Ying at "University of Wisconsin- Milwaukee" in Milwaukee, WI.



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