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2015年06月11日

病気の陰にサイレント変異






病気の陰にサイレント変異

掲載日:2009年8月5日

人間の設計図、ヒトゲノム(全遺伝情報)は、4つの文字(4種類のDNA塩基)で書き連ねられた本のようなものだ。その総文字数は30億字(30億塩基)で、その中にタンパク質の設計図(遺伝子)が含まれている。タンパク質を作るときは、DNAで書かれた設計図が、RNAで書かれた設計図に書き写され、そのRNAの設計図から実際のタンパク質ができる。RNAの設計図も4つの文字で書かれており、一般にA、C、G、Uと表される。

タンパク質はアミノ酸の集まりなので、RNAの設計図には各種アミノ酸が3文字で表記されている。例えばグリシンというアミノ酸はGGUだが、GGCやGGA、GGGもグリシンを意味する。RNAの設計図を見ると、同じグリシンでも、設計図の場所ごとで表記の使い分けが行われている。

生命の設計図の特徴は予期しない図面の書き換えがあることで、これが遺伝子の突然変異だ。しかし突然変異によって、例えばGGUがGGCになっても、グリシンができることに変わりはないので、作られるタンパク質は同じ。実際、多くの場合その通りで、それ故にこうした突然変異は「サイレント変異」と呼ばれていた。

ところが、サイレント変異の中にはサイレントではない、つまり設計図通りにはタンパク質ができなくなる突然変異が存在することがわかってきた。そうなると病気を引き起こす。  なぜサイレントではなくなるのか、そのメカニズムは1つではなく、解明は途上にあるが、大腸がんの一種や体の一部が長くなる病気などサイレント変異がかかわる病気がすでに50種類ほど発見されている。
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2015年06月10日

あなたの瞳にご用心






あなたの瞳にご用心

掲載日:2009年7月31日

天体望遠鏡は星を見るものだが、産業スパイは高層ビルのオフィスの一室、パソコン画面で機密情報を見ている重要人物の眼鏡に望遠鏡の焦点を合わせるかもしれない。

企業や政府、一般家庭でも、コンピューターシステムはウイルス対策ソフトやファイアーウォールなどで情報漏洩を防ぐ対策が講じられている。だが、盗まれる危険のある情報はパソコンやネットワークの中だけにあるのではない。情報セキュリティーの専門家によると、液晶ディスプレーやキーボードから漏れる微弱な電磁波やプリンターの印字音、机上のガラスコップや腕時計の表示板、金属製のアクセサリーに映り込むパソコン画面から情報を盗むことができるという。パソコン利用者の眼球に映り込んだ画面を読み取ることすら可能であることが実証された。

コンピューターシステムがいくら厳重に守られ、通信内容が暗号化されていても、利用者がアクセスする際には、パソコン画面や音声などの形で、生の機密データが空間に流出する。そこを狙って情報を盗むことを「サイドチャネル攻撃」といい、銀行など一部の施設が狙われている可能性はあるという。

IT社会の死角、サイドチャネル攻撃に関する最先端の研究を紹介する。
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2015年06月08日

日経サイエンス 2009年7月24日






かぐやが語った月世界

掲載日:2009年7月24日

日本最古の物語、竹取物語の主人公にちなんで名付けられた探査機「かぐや」。月上空の高度100kmに約600日とどまり、月面をつぶさに調べた。竹取の翁(おきな)と嫗(おうな)から名前を取った子衛星「おきな」「おうな」もかぐやの仕事を助けた。

今年2月、使命を終えたおきながの裏側に落下、そして6月、かぐやにも最期の時が来た。6月11日未明、宇宙航空研究開発機構(JAXA)相模原キャンパスのかぐや管制室には多数の関係者が詰め、最後の指令がかぐやに送られた。

そのとき、かぐやは近月点(最も月に近づく点)高度が6kmという月周回軌道上にあったが、残存燃料を使って2分20秒間逆噴射し、速度を落とした結果、近月点の高度が-4kmへと変更され、月との衝突コースに乗った。午前3時25分、かぐやは月の表側にあるクレーターの斜面にほぼ水平方向から突っ込んだ。おうなはまだ月を周回しているが、役目を終えたため、6月末に地球との交信が絶たれた。

かぐやによる月探査は「アポロ計画以来」ともいわれる大がかりなものだった。観測装置のごく一部にトラブルがあったが、全体的に見れば当初計画を上回る質と量のデータが得られた。

かぐやが成し遂げたことを一言で言えば、月の裏側とはどんなところか明らかにしたことだ。月は自転周期と公転周期が同じなので、地球からは表側は見えても、裏側は見ることができない。そしてこれまでの月探査でも、裏側については詳しい地形や重力の様子などはわかっていなかった。それがかぐやによって、すべてが見えるようになった。南北両極域についても同じようなことが言える。では、それでどんな新発見があったのか? かぐやによる月探査計画の科学部門のリーダーであるJAXAの加藤學教授が紹介する。
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